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アメリカ在住の日本人が綴る、学んだ英語、出会った言葉、日々の疑問など

Two-way thing (二刀流)

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公園で見かけたしょぼい少年野球の試合 観ていてすごく楽しかった

「二刀流をやるためにここに来た。二刀流ができるのを証明してみせるっていうのが大きなモチベーションになっている。」

“I came here to do the two-way thing. That’s a big motivation for me, to try to prove to everyone I’m capable of that.”

(大谷翔平、NYタイムズ紙の記事より)

 もう毎日毎日、大谷大谷大谷ってもう聞き飽きた!という日本の皆様。はい、また大谷サンの話題でーす。

  日本では、大谷選手がホームランを打つと速報になるくらいの扱いと聞きます。しかし、アメリカ国内では、チームの地元とか熱心な野球ファン以外は「それ誰?」状態です。大谷サンが人気無いんじゃなくて、野球がいまいち人気が無い。野球やってる子供も少ない。まあ、私の住んでいる街は、MLBのチームの地元じゃないからっていうのもあると思うけれど。

アメフト>>>>>>バスケ>>>>>>>>>>>>>>野球

 地域性もあると思うけど、体感的には上記のような感じ。
 メディアの広告に使われるのも、NFLとNBAの選手ばかり。野球はそれらに比べて明らかに扱いが小さい。NFLやNBAを熱心にフォローしていない人の間でも名前と顔が一致するフットボール選手やバスケの選手はいると思うけれど、野球選手となるとそこまで知名度高い人はほとんどいないんじゃないかな。

 以前、インド出身のアメリカ人に、こう言われたことがあります。

「日本に出張に行ったことがあるんだ。びっくりしたよ。朝、駅に向かう男性がみんな同じような恰好をしていて、そしてみんな野球の新聞を持っていたんだ!!」

 日本人会社員がみんなスーツを着ていることに驚いているのか? それとも、スポーツ新聞を持っている男性がいっぱいいることに驚愕しているのか? 
どちらもまったく驚きではない私にはわからず、きいてみたところ、両方にびっくりしたけど日本で野球人気がすごいということが特に意外だった様子。

 野球はアメリカから日本に行ったものだと思うんだけど、日本でのほうがアメリカよりずーーーーーーーっと人気になってしまった。アメリカの野球人気ははっきり言って下降気味でなんとかしないと!っていうレベル。

 そこに来て、大谷選手の登場です。

 正直に言う。大谷選手がアメリカ人で(そしてできれば白人で)アメリカ野球界生え抜きの選手だったら、多分MLBの人気復活の救世主になれたと思う。

 でも、日本が生んで日本が作ったスーパースターだから、アメリカ野球界としてはちょっとやっぱり悔しいんだよね。時代が違い過ぎて比較する要素がほとんど無いのに、やたらベーブ・ルース出してきたり。偉人のベーブしかできなかったことを日本から来た奴にやられたくない、もやもやもや・・・なんでしょう。

 アメリカ人の心が狭いと思ってはいけません。想像してみましょう。例えば20年後くらいに大谷選手が引退して国民的レジェンドとなった頃・・・どこの国だかわかんないところから、日本に突然すごい外国人プロ野球選手が来て二刀流でガンガン活躍し始めて、大谷選手の記録を軽く塗り替えて行ったら・・・リアルタイムで大谷選手を応援していた日本人たちは、賞賛しつつもなんとなく寂しい気持ちにもなるかも? 相撲で、日本人力士がとうていなしえないような強さを見せて前人未到の活躍をする外国人が表れたら、ちょっと複雑な心境になったりする人もいるかも?
 
 でもアメリカのメディアやファンは、そういう気持ちをそれほど表に出すことなく、うまく大谷選手の超人的な活躍を受け入れているように見えます。

 NYタイムズ紙が以下の記事で大谷選手のいわゆる「二刀流」の是非を検討しているのを読みました。6月29日付、ちょうど、タイムズの地元チームであるヤンキースが3連戦でエンジェルズと対決するタイミングだからこういう記事が載ったんだと思います。
 日本人にとっては何をいまさらな議論なわけですが、読者コメントも含めて面白かったです。

Is There Such a Thing as Too Much Shohei Ohtani? - The New York Times

 記事では、今シーズンの大谷選手の投打両方の好調をざっと紹介。そして殿堂入りしたピッチャー、ジョン・スモルツ氏が「オータニは誰もが応援している選手だ」としつつも、「でも現実的には、両方の素晴らしい才能をつぶすことなくこんなことをいつまで続けられるだろうか」と二刀流に懐疑的な見解を述べています。投手にしぼれば、今季素晴らしい防御率で投げているジェイコブ・デグロム級の投手になれるとおっしゃってますが・・・。

 この記事を書いたNYタイムズの記者は、日ハム時代の二刀流の実績や登板間隔なども参考にしつつ、「チームがちゃんと注意深くやるんであれば、うまくいくんじゃないかな」みたいな感じで二刀流に好意的な感じで締めくくっています。

 読者の皆さんのコメントをいくつか訳しますね。

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  • 私は71歳、生涯の野球ファンだ。ただの試合なんだよ、最近は大金が動くものになり過ぎているけどね。しかしまあそれでも、ただのゲームなんだ。彼は見るからにそのゲームを愛している。しかもうまいと来たもんだ。好きなようにプレイさせてやれよ。(テッド、ニューヨーク州の田舎)
  • オータニをオータニでいさせてやれ。オータニは試合をすごく楽しくしてくれている。 二人の日本人選手を思い出すな。すごく個性的でちょっと変わった食事法とか練習方法とかをしていた二人、イチローとレッドソックスのDice-Kだよ。一人は満場一致で殿堂入り、もう一人はワールドシリーズとったね。二人とも並外れたキャリアを並外れた長さで楽しんだ。賭けるよ、オータニもそうなるって。(Gautam, コンコルド、マサチューセッツ州)
  • 打者を諦めろだって? ジョン・スモルツ、本当か? ヤツは二刀流やりながら、OPSでリーグ3位、ホームランでリーグのトップなんだけど。あいつが打撃だけやってそのためにちゃんと休養をとったとしたらどうなるだろう? 彼の打撃はほぼ間違いなくピッチングよりすごいよ。今季はかなりの調整もしたし。仮に彼が投手だけやって5-WAR*1投手から9-WAR投手(デグロムのレベル)になったとする。対して、5-WARのままで投手やって今の彼のペース(現在6.8 WAR)で打ったとする。そうすると、彼は二刀流選手としてのほうが依然として価値が高いということになる。デグロムは、だいたい 8.5 WARのペースで投げている。投手だけやって10 WARを超えるのは本当に本当に大変なんだ。現代では片手で数えられるくらいの投手しか成し遂げたことが無い。オータニは、今季は(投手としてのWAR、打者としてのWARを合計すると)約11.8 WARのペースでやってるんだぜ! 最後まで頑張れるかな?(ジョニー・グレイ、オレゴン)
  • ヤンキース・ファンです。3連戦の最初の2戦を観ました。二試合で3ホームラン打たれちゃった。ポール・オニールも言ってたけど、彼を観るのが待ち遠しかった。今はもうたくさんって感じだけど。でも、真面目な話、すごいし、わくわくする選手だよね。(Lily tc、ニューヨークのダウンタウン)
  • よく分かってない「専門家」がオータニに投手にだけ専念しろというのは本当におかしなことだよ。このスーパースターに、そのままでいさせてやれ。彼は新鮮な息吹だ。特に彼の謙虚さと礼儀正しさ。俺を見てくれって感じで虚栄心が強いほかの野球選手のやり過ぎな祝い方とかと比べるとね。(ソクラテス、ニュージャージー州)
  • 野球にはオータニみたいな選手にファンの興味を再燃してもらうことが必要だ。正直言って、全部役割分担されているし、投手優位だし、野球の試合はつまらなくなっている。(zarathustra、リッチモンド)
  • オータニは、まさに野球が今こそ必要としているものだ。「どっちか選べ」派は聞き苦しいよ。彼が優れていることが不安なんだろうか? 野球っていうのは誰も見たことがない何かを与え続けるスポーツなんだよ。ショーヘイ・オータニの時代は今なんだ。(Slann、カリフォルニア)
  • オータニは一生に一度出会えるどうかというくらいのスター。彼自身がどう感じているかという以上に、彼のパフォーマンスを一番よくするやり方を毎日そしてシーズン全体に至るまで分かるやつなんているのか。最近の選手は全てのボールを最速で投げて、全部のバッターがホームラン狙ってスイングしなけりゃいけない。そういうレベルのパフォーマンスのために何億って金をもらってるのに、シーズンを怪我で終わりがちってのは矛盾だ。(MEM、ロサンジェルス)
  • 役割分担の時代、金やビジネスのせいで要求が大きい時代に、こんな投手・打者の二刀流を観るなんて考えたこともなかったな。ベーブ・ルースと比較するところは少ないよ。アメリカ人じゃないやつがそれをやっているっていうのがちょっと皮肉だよね。それでよかったのかもしれない。(Wordsworth from Wadsworth、New Wye, アパラチア地方)
  • でもエンジェルズは二流チームのままだけどね。(パトリック、ソノマ)
  • 最近、球界が選手に課している馬鹿げた限界にはもう飽き飽きだよ。この間、アーロン・ループがメッツのために3回投げて、実況アナウンサーは彼がなんかすごいこと成し遂げたみたいな反応だった。一番いい時期にあるプロのピッチャーが3回投げるのが、そんなすごいことか?  オータニが5日おきに投げてほかの6日間DHやるのを制限しろなんて、クリティカル・シンキングに欠けている。投手に専念したら、得点生み出しているのが無くなっちゃうけどそれはどうするの? 最近の野球は考え過ぎだよ、馬鹿げている。(TO、ニュー・オーリンズ)
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 まあ、こんな感じで、圧倒的に「二刀流やらせろ」、「ごちゃごちゃ言うな」、「最近つまんなくなった野球が面白くなるんだし、いいじゃないか」という感じで応援されています。

 しかし、しかしです。

 上記は・・・たったの21コメントからの抜粋なんですよ。

 こんまりさんがあまり面白そうにも見えない新刊本を出した時の「こんまりのパンデミックでもときめき☆日記」みたいな記事ですら65コメント(ほとんどアンチとか批判ばかりだったけれど)、お騒がせ大坂なおみさんの出たばかりの「ナオミがメディアに戻って来た!」記事も144コメント(こちらはアンチは少ない)・・・。「東京オリンピック実行委員長、性差別発言で辞任」という記事すら43コメント集めている!! 

 オータニさん・・・森喜朗さんにも負けてるよ・・・。

 というか、大谷選手がすごくないわけじゃない。やっぱ野球人気が無さすぎる。多分、その辺の人に「オータニは投手と打者の二刀流ですごいんだ」と言っても、「エッ、野球ってもともと守って打つのを両方やるもんじゃないの?」みたいな反応が来そう・・・。

 野球界よ! もっと頑張れ!! 

 野球人気が復活しないと、オータニさん、全国区になれません・・・。
 MLBは、オータニさんが身を削って二刀流という危険な賭けに出てんだから、どっちかにしぼれとか言ってないで、もう全員二刀流とか三刀流やらせろ!! 打者全員かならず1イニング投げろ!! 役割分担やめて、毎日守備のポジションもローテーション!! もしくは、くじびきでポジションと打順決める。外野はボールが飛んで来ない時は、歌って踊る!!

 オータニさんも打って投げるだけじゃなくて、記者会見拒否とかうっかり差別発言とかして世界的に炎上してみる。ベーブ・ルースを超えてみせますと宣言し、飲んだくれて葉巻吸って不倫しながらばんばんホームランを打つ(ベーブはそれらの素行の悪さで有名)。ここまでやったら、知名度でロブロンとかトム・ブレイディに並ぶことができるかもしれない。

 Make American Baseball Great Again!!

*1:その選手のチーム勝利への貢献語を示す指標で数値が大きければ大きいほど貢献しているということだそうです