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アメリカ在住の日本人が綴る、学んだ英語、出会った言葉、日々の疑問など

バーニー・サンダースのミトンで盛り上がるノリはよくわからないけれど

 バイデン政権になってからニュースが退屈で退屈で・・・。

 ニュースをチェックする気も起きなくなってきました。バイデンさんもまるで空気。いるんだかいないんだか。

 いやあ、素晴らしい!!

 それくらいでいいと思いませんか。そもそも大統領が出てきて会見したり国民に直接声明発表したりするのは、あんまりよくないことが起こっている時が多いんだし、大統領が空気でいられるくらい平和なのが一番。やたら出てきたりTwitterやったりしなくていいから、粛々と仕事して下さい。

 突然ニュースが退屈になったのは私だけではないのか、大統領就任式でものすごいイジられたバーニー・サンダースの手袋の話題がまだ続いています。

 日本でも少し報道されたようですが・・・
www.jiji.com

 上記の写真、本当に瞬く間に話題になって、ネット上がこの写真のミームだらけになって、私はいまだにいまいち何が面白いのかわからないのです。ほんとにものすごいバズりかたで・・・。
 上記の写真のバーニーをあちこちにフォトショして当てはめて面白がっているんだけど、これは「大喜利状態」になっているということでいいのかな。どれもフォトショの技術はすごいけど、それほど面白くないと思うんだけど。
 その「面白くないけど延々と手を変え品を変え続けるノリ」をみんな楽しんでる??

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 晴れ舞台に出席したバーニー・サンダースが、
「郵便局に郵便出しに行く寒そうなじいちゃんにしか見えない」
「手袋が場違いでかわいい」
という、元の写真の注目ポイントはちゃんと理解できるんだけど。

 ほんと、近所のおじいちゃんに見えます・・・。

 ミームのノリにいまいちついていけない私を置いたまま、世間はこの「手袋バーニー」ネタで盛り上がりまくり、サンダースはこの「手袋バーニー」をあしらった服やグッズをサイトで売って、二億円近く荒稼ぎし、その売り上げを全額地元の慈善団体に寄付。なんでもすぐビジネスにしちゃうのね。さすが民主社会主義者。これも富の分配?
 しかし、こんなの誰が買うの?? 二週間後くらいには着てるのが恥ずかしい服になると思うんだけど。ゴミが増えるよ?サンダースさん。グリーン・ニュー・ディールじゃなかったのかい?
 
 手袋バーニーの人形、実物大のポップ、壁画、似たような手袋の販売・・・ほかの皆さんもわらわらと乗っかってます。
 
 平和、ですよね。

 みんな平穏と退屈を楽しみたくなったのかな。よくわかりません、やっぱり。

 でも、この写真と手袋のバックストーリーは好きです。

 ここまで盛り上がってしまうと、写真を撮ったカメラマンと手袋の出どころも当然注目されるわけですが、まずカメラマンの当惑がほほえましかった。彼のインタビューを読みましたが・・・。

「議事堂占拠で話題になった共和党議員を撮影しようとしていたけど、サンダース議員が目に入った。」
「あんな写真、コンポジションも全然良くないし、自分のポートフォリオに入れたいと思える写真じゃない。」
「言っておくが、バーニーはずっとああやって寒そうに不機嫌な顔をしていたわけじゃない。周りの人と会話したりもっと動きもあった。人に誤解を与える瞬間だけを切り取る撮影は好きじゃない。迷ったが撮った。」
「こんなに売れることは想像だにしていなかった。今回のようなことが予想できるなら今頃自分は億万長者になっている。」

 ほんとにね・・・。狙った入魂の一枚じゃなくて、「なぜ?」というのが売れちゃったりするんですよね。

 今や世界中に拡散された手袋は、市販品ではなく一般人の手作り。

 サンダース議員の地元ヴァ―モント州在住の小学校教師ジェン・エリスさん(42歳)のプレゼントだそうです。とにかくこの人への注目もすごい。
www.jiji.com

 なんかヴァ―モントの暇なおばあちゃんが手編みしたのかと思っていたけれど、現役の先生の手作りなのが意外。手編みではなくて、着られなくなったセーターを生地のように使って、裏地にペットボトルからリサイクルされたフリース生地を合わせてミシンで縫って作ったものだそう。Sweater+Mitten=Swittenという名前で、クラフトフェア(手芸市)で売っていたジェン・エリスさんのお写真も見ました。
 小学校教員で5歳の娘さんもいてすごく忙しいと思うんだけど、手芸は落ち込んだ時に自分が癒されるからやっている趣味だそうで、クリスマスにはお子さんがお世話になっている幼稚園の先生やスタッフなどにたくさんこのミトンをプレゼントしていたそう。
 そのお子さんの幼稚園の関係者の一人が、バーニー・サンダースの義理の娘さんだったそうで、2016年にサンダースがヒラリー・クリントンとの民主党の指名争いに負けて大統領選から撤退した時に、「あなたが好きだし、応援しています。また出馬して下さいね」というようなメッセージをつけてミトンを渡してくれるように頼んだとのこと。

 それきり忘れていたけど、大統領選に再出馬したサンダースが選挙戦の大事な場でそのミトンをつけているのが目撃されるようになって、いろんな人に「バーニーがあなたの手袋をしてる」と言われるようになり、手袋を忘れて手が冷たくなった人にサンダースがそのミトンを貸してあげたというような話まで耳に入ってきて、嬉しくなってまた何ペアも贈ったそうです。サンダースはやはり地元民にとってはヒーローのような人で、自作の手袋を気に入ってもらえるのは本当に嬉しく光栄なことだったようです。
 でも、その頃にネットで以下のように宣伝もして売ってもみたけど、ほとんど問い合わせは来なかったようで・・・。

 すぐネットの海に埋もれた・・・とエリスさんはおっしゃってましたが、こうして見ると素敵です。手袋ってすぐ無くなるし、身につける時に気持ちまで暖かくなりそうなデザインに見えるし、私も欲しくなってしまった。

 今になってその手袋に世界中からすごい数の問い合わせが来るようになったエリスさん。教師と言う本業があって時間もとれないということで、今回の騒動後に3ペアだけ作ってオークションサイトで売り、それぞれの売り上げを動物愛護団体、LGBTQ支援団体(エリスさんはレズビアン、奥さんがいる)に寄付、最後の一組のミトンの売り上げだけ娘さんの学資積み立てに入れました。

 今回のことで、ミームで盛り上がったり、ミトンを買ったりするだけじゃなくてみんなにもっと多くのことを感じてほしいと言うエリスさん。

 以下、NBC Newsの記事より。

「みんながみんな人に贈れるような物質的なモノを持ってるってわけじゃない、でも私たちは皆、そういったものではない多くを与えられている。自分にできる範囲でそれを贈る時、見返りは驚くほど大きい。ご存知の通り、今回のことで私は一躍お金持ちになんてならなかった。でもそこから返ってきたのは、もっと長い間続いてゆく私と言う人間を大きく助けるものだったし、ヴァ―モント州(の人々)だって今回のことで恩恵を受けたと思う。」
“We don't all have material things to give away, but we all have so many other gifts. When we give them away in what capacity we can, what we get back is astounding. You know, I didn't get rich quick off this, but what I have got back has been so much longer lasting and more profoundly contributed to who I am, and I feel like Vermont will benefit from this.”


「何年も前のことで忘れていたちょっとした思いつきの贈り物と親切のせいで、まったく別のすごいことが起こった。あのカメラマンの人が、バーニーの彼らしいあのショットを撮って、世界がそれを見つけて、パンデミックの真っ最中にみんなが一緒になってひとつのことで共に笑う機会を持った。お互いのことを笑い合うとか、誰かを犠牲にして笑うとかじゃなくてね。バーニーだって面白がってるんだから。」
“Because of a random gift and act of kindness that I did years ago and forgot about, something else totally random happens. That guy, you know, captured that shot of Bernie looking like he was, and then it got picked up by the world, and in the middle of the pandemic everybody just had a chance to laugh about something together — not at each other and not anyone's expense, because Bernie thinks it's funny, too.”


「惜しまず与えるということがどれだけ喜びをもたらすか、たくさん伝えていくつもり。ただ物質的な物を気前よくあげろということではない。自分の時間、やる気や、善意を惜しまず与えることです。」
“I'm starting to talk a lot about how generosity brings joy — not just generosity with your material things, but generosity with your time, with your spirit, with your goodwill.”

 他のインタビューでも、同じようなことをおっしゃっています。素敵な女性、素敵な先生ですよね。

「これは私が人生で何度も何度も学んできたこと。自分自身を与える、物じゃなくて、自分の時間とか善意とかやさしさを与える。そうしたら、喜びが返ってくる。簡単なことです。誰かを思いやるためにお金持ちである必要なんてない。ただ人間であればいいだけ。私たちは皆多くを与えられている。お互いにそれを分け合えば、世界はより良い場所になります。」

“This is the lesson life has taught me again and again. If you give of yourself—not just material gifts, but your time, your goodwill, your kindness—you receive joy. It’s that simple. You don’t have to be rich to care; you just have to be human. We all have so many gifts, and the world is a better place when we share them.”

参考記事:
Bernie Sanders Chair Meme Photographer Details Famous Shot - Rolling Stone
Bernie Sanders Memes And Mittens Have Now Raised Over $1.8 Million for Charity