WRITE, DREAM, LIVE

アメリカ在住の日本人が綴る、学んだ英語、出会った言葉、日々の疑問など

Last resort (最終手段、最後の手段)

 ご近所さん家に競うように立っていた大統領選のヤードサインも今週には一気に消えて、ああひとつ大きなことが終わったんだな、と実感する今日この頃。
 
 その代わりに、近隣の芝を謎のクモの巣のような膜がおおい始めた。

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 これ・・・なんですか? 教会の広場の広大な芝を全部覆って、ワカメのように風にそよいで気持ち悪い。
 
 他にも犬の散歩しながら写真撮っている通行人がいたので、これの正体を尋ねてみたところ、「クモの巣よ!キレイね~」って自信満々だったけど、クモってこんなに広範囲に巣をはるもんなんですか? クモの仕事にしては汚いし。しかもこんなのほかの季節には見たことが無いし、なにか植物の活動の一種?

 しかし、そんなことより、コロナが本当に大変なことになっている。
 すごい世紀末感。再開していた学校が一校、また一校とオンライン授業に移行し、多分来週から学区全校オンラインに・・・。
 うちの重度自閉症児にどうやってオンライン授業を受けさせればいいのか。頭痛がする。多分、私がつきっきりで「画面見なさいっ!ほら、先生だよ!学校の先生だよ!」と椅子から逃げようとする我が子と格闘することになるんだろうな。こんな文章書いていられるのも今週だけか・・・

 毎日毎日州から発表される陽性者数もうなぎのぼり。もうその陽性者の数は、「検査の体制やシステムがうまく行ってたくさん検査できているということだろう」と考えて気にしていないのだけど、入院者数と死者数には打ちのめされる。指数関数的に増えて行っているそうで、なによりも医療関係者からの「もう病院はいっぱいで、スタッフも足りません」という悲痛な会見が辛い。

 現在深刻度ナンバー1の州、ノースダコタの知事はついに、

「検査で陽性だった医療関係者でも、症状が無ければそのまま看護に従事してよい」

というビックリ仰天な許可(?)まで公言。
(ソース:North Dakota allows Covid-positive healthcare workers to stay on job as nurses warn it's 'irresponsible'

 もうどうしようもできないところまで来ているということなんでしょう。しかしこれにはもちろん批判も多く、ノースダコタの病院の医師は、「知事の配慮はありがたいが、現時点ではそのような措置は考えていない。それは本当にほかに打つ手が無い場合の最後の手段(Last resort)だ」とインタビューに答えていた。

 でも、本当にどうするのか。春先のニューヨークのように野戦病院状態になってしまうのか?? あの頃はまだよかった。だって季節が春から夏に向かう時季だったから。ノースダコタってむちゃくちゃ寒いんですよ、 ほとんどカナダっていうか・・・。
 ノースダコタじゃなくても全米の一部を除き常夏な州なんて無い。病院が足りなくなったら、換気のいい別の屋内施設を大量確保するしかないし、しかもそこでお仕事してくれる人も確保しなくてはならない。ニューヨークの時は、よその州から応援部隊が来たり、早期退職した医療関係者が仕事に戻ってくれたりしたわけだけど、今はどこも自分の州のことでせいいっぱいなはず。田舎なんて退職した医療関係者の数だってたかが知れているし。
 もう既に現場では暗黙の了解のもとに、トリアージュという名の命の選別が行われているのだろう。それをやらなくてはいけない人のことを思うと、本当に辛い。

 本当にどうにかならないものか? 
 
 感染者の携帯電話のデータを解析してウィルスの感染が起こりやすい場所を割り出した研究結果がNatureに発表された。
 その結果、コロナが最も広がりやすい場所は、レストラン、カフェ、教会、ジム、ホテルなどらしい(学校とか刑務所とか高齢者施設とか携帯電話のデータが無い場所を除く)。

(ソース:Big data and simple models used to track the spread of COVID-19 in cities

 でも、そういう場所をクローズしてロックダウンみたいなことをするのもやめてほしい。そういう場所をオープンしているのが問題なのではない。そういう場所を充分に感染予防に気をつけて使わない人がいるのが問題なんじゃないかと思う。特にアメリカはマスク反対の人がこんなふうになってもまだ多いから。「マスクして下さい」って書いている屋内店舗でも、入店したらマスク外してしまう人が結構いる。マスク着用すら求めていない屋内施設もあるし。

 まあ、そんな「ゆるさ」のおかげで、どうやってもマスクをつけてくれない障害児がいる私のような親は、少しだけ肩身の狭さ・申し訳無さを感じずに済んでいるところはあるのだけど・・・。

 みんなが感染予防に気をつけて、ばんばんビジネスを利用するっていうことはできないのかな。私には飲食業を営む身内が日本にいるんだけど、彼らのことを思うと「ロックダウンしろ」と簡単には言うことには疑問を感じる。飲食はまだデリバリーやピックアップで頑張ればいいとして、ジムとかはどうすればいいんだろう。ジムを経営している人は言うまでもなく大変だけど、利用者側も、これから冬だし、運動する場所が無いと精神的・肉体的にまずいことになる人も多いと思うのだけど。

 なんかアメリカでは違法地下ジムまであるそうで・・・

Inside the illegal underground gyms of the COVID-19 pandemic - CNET
Secret Gyms And The Economics Of Prohibition : Planet Money : NPR

 なんか禁酒法時代のアメリカみたい。映画『ファイト・クラブ』みたい。

 ウィルスって人の命を奪うだけでなく、文化や、人が当たり前に働いて幸福を追求する権利まで奪っていく。これが永遠に続くことではない、というのが唯一の救いかな。

 日本も自粛警察みたいな人たちもいて大変と聞くけれど、あと半年このまま持ちこたえれば、ワクチンや新薬が入手可能になっているはず。日本は、英語で言うところの「be on the right track(正しい方向に向かっている)」だと思う。感染の広がりをゆっくりに保ってこのまま頑張れー!と世紀末感溢れるアメリカから切に願っています。