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アメリカ在住の日本人が綴る、学んだ英語、出会った言葉、日々の疑問など

Voter Suppression(投票抑制)

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10月下旬のとある日の午後2時

 まるで朝もやのような午後の霧。
 どこにでもある住宅街が一気にホラー映画の舞台みたいになって幻想的。・・・などとうっとりしていると、至近距離で白い霧の壁からヌッと人や車が出てくるので危ない、危ない。

 米国のコロナの感染状況は第三波に突入したとかで、多くの地域でかなり悪い状況が続いているのを聞く。しかも大統領選挙まで2週間を切って、選挙後の混乱や動乱を恐れて銃がバカ売れ、トイレットペーパーや水や保存食もまた売れ始めているそうで・・・。
また品薄になるのか。
じゃあ、買っておこう。
・・・・・・とみんなが考えてまた品薄に拍車がかかりあっという間に悪循環に陥る。これってスーパーの戦略? 「皆さんには恐ろしいことだろうが、うちの店にはありがたいことだ」と神妙な顔でインタビューに答えていた食料品店の方をテレビで観た。社会が不安定になるとスーパー高笑いだったりして。
 
 それにしても、大統領選のせいで内乱が起こるかもって・・・

 そうまですることなの?って思うけれど、アメリカは与党と野党で政策や考え方がくっきり違い過ぎで、その二極の間を行ったり来たりしている国だから、どっちが政権とるかで人生変わっちゃう人もいるんだろうし、どうしても納得がいかないという人もいるんだろう。「どこが政権とったって大して変わんない」とはならない。
 しかも、二極で本当に半々くらいに票が分かれている。どっちが勝つかギリギリ。東京都知事戦みたいにぶっちぎりだったらこんなにもめない。たったの数百、数千の票数で勝ったり負けたりするから、もうどっちも必死。

 そこで、Voter Suppression(投票抑制)のようなことが起こる。

・黒人やヒスパニック系の人口が多い地域の投票所や投票箱を撤去→「遠くて不便だから投票に行かない」「車が無いから行けない」という流れを狙う

・車を運転できないお年寄りや車が無い黒人たちを投票や事前登録の場所に連れて行くバスをとめてしまう

・事前投票を週末前に打ち切る→黒人教会が投票を呼びかける集会が日曜の教会のサービスの後に開かれて黒人票が日曜に送られるのを無効にするのを狙う

・当日の投票所でやたら何種類も住所の入った身分証明を要求する→私書箱を使うことが多いネイティブ・アメリカンたちが投票できない

・マイノリティ人種の多い地域の投票所を一つにし何時間も並ばせる→みんな諦めて帰ってくれ!

・投票所近くで武装を匂わせる白人至上主義集団の怖い車を徘徊させる→暴力を恐れて有色人種が投票を諦めるのを狙う

 本当にね、涙ぐましいというか・・・。もうあの手この手で、弱い人たちや貧しい人や少数派の人たちに投票させないために必死になっている。

 とにかくそういう人たちが投票するのを難しくすれば、その人たちの声が反映された政権にしなくてすむ。彼らの声をカウントしなくてすむようにするにはどうしたらいいのか、そこにむちゃくちゃエネルギー注いでいる。非生産的なことに人生の時間や知恵を使っている人たちがいるんだなあとなんだか感心してしまうよ。

 こんなことやって効果あんの?って思ったけど、こういう投票者抑制で激戦州で何万ものマイノリティの票が無効にできるそうで・・・確かな実績が既に上がっている。

 ネットでは、日本人の間でブラック・ライブズ・マターの運動に冷ややかな人の意見もよく見るけれど、こんな形式的な民主主義で長い間我慢してたらそりゃいつか何かが起こるのもわからんでもない。

 民主主義なんて一部の人のためだけで、力の無い人たちにとっては形だけのものなんだな。